Processing math: 1%

2017年2月26日日曜日

測度論、測度の台その3

こんばんは4sです。今回は、測度が定義されている位相空間と測度の台が一致しているとき一体何がうれしいのか、について記事を書きます。

 以下、設定です。

X は可分距離空間。もっと一般的な位相空間でもいいんですけど、まあこのくらいで話を進めても特に問題ないかなと思います。\mathcal{B}(X)X のBorel \sigma-加法族、\mu はBorel測度で \text{supp}[\mu]=X を満たす。C(X)X 上の実数値連続関数全体、\mathcal{L}^{2}(X,\mu)X 上の(\mu に関して) 2 乗可積分な関数全体。L^{2}(X,\mu)\mathcal{L}^{2}(X,\mu) を "2 つの関数は \mu-a.e. に等しい" という同値関係で割って得られる商空間。すなわち、

\mathcal{L}^{2}(X,\mu) の元は生の関数。\mathcal{L}^{2}(X,\mu) は実ヒルベルト空間にならない。
L^{2}(X,\mu) の元は同値類。L^{2}(X,\mu) は実ヒルベルト空間になる。どういう内積の下でヒルベルト空間になるかは記述を省略します。

本によっては \mathcal{L}^{2}(X,\mu)L^{2}(X,\mu) を同じ記号で表してあるので注意が必要です。

それでは本題です。

C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu)L^{2}(X,\mu) の部分集合とみなすにはどうすればよいか?

注意点:
C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) の元は生の関数で L^{2}(X,\mu) の元は同値類だからこれらは全然違う集合です。C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) \subset L^{2}(X,\mu) という記法にはまだ意味がついていない。
・"部分集合とみなす" ということは C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) から L^{2}(X,\mu) への単射 \Phi を構成する、定めるということ。これは定義です。
・上記の単射を構成してはじめて C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) \subset L^{2}(X,\mu) という記法に意味が付く。これは \Phi (C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu)) \subset L^{2}(X,\mu) の略記。すなわち、\Phi (C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu)) \subset L^{2}(X,\mu)C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) \subset L^{2}(X,\mu) の定義である。
\Phi: C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) \to L^{2}(X,\mu) は単射でなければならないわけだが、f,g \in C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) に対して f \neq g とはどういうことか。これは、f(x) \neq g(x) を満たす x \in X が存在するということである。

\Phi を定義しましょう。
f \in C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) に対して \Phi(f)=[f] と定めるのが良さそうです。ここで [f]=\{h \in C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) \mid f=h \, \mu \text{-a.e.}\} である。さて、f,g \in C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu)f \neq g を満たすとする。このとき、\Phi(f) \neq \Phi(g) か? これは f = g \mu-a.e. ではないということだが、これは本当に成り立つのか?

ここで \text{supp}[\mu]=X という条件が必要!

f,g \in C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu)f \neq g 満たすとき \{x \in X \mid f(x) \neq g(x) \}X の空でない開部分集合( f,g の連続性を用いる)。\text{supp}[\mu]=X X の空でない開部分集合の測度が真に正であることと同値だったから \mu(\{x \in X \mid f(x) \neq g(x) \})>0。これは f = g \mu-a.e. ではないということを意味する。

f = g \mu-a.e. ではない \Leftrightarrow (\mu-)測度正の集合 A が存在して、その集合 A の上で f(x) \neq g(x) が成り立つ

だったことに注意しましょう。

以上で \Phi が単射であることが分かりました・・・。こうして見ると \text{supp}[\mu]=X ってかなり大事な条件ですよね。

まとめ:\text{supp}[\mu]=X という条件下で C(X) \cap \mathcal{L}^{2}(X,\mu) \subset L^{2}(X,\mu) が成り立つ。

なんか疲れたので今日はここまで!

ほいじゃ。


0 件のコメント:

コメントを投稿