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2017年2月25日土曜日

測度論、測度の台

どうも4sです。測度論について記事を書きます。

X を位相空間、\mathcal{B}(X)X の位相的 \sigma-加法族とします。\mu\mathcal{B}(X) 上の測度とします。ちなみに位相的 \sigma-加法族のことをBorel \sigma-加法族、Borel \sigma-加法族上の測度のことをBorel測度と呼ぶことがあります。今日はこのBorel測度 \mu の台という概念に触れてみます。

Borel測度 \mu の台とは、\mu(X \setminus F)=0 を満たす X の閉部分集合 F のうち、集合の包含関係について最小のもの。\mu の台は \text{supp}[\mu] と表記されることが多いです。

しかし、\mu の台って常に存在するのだろうか・・・? X は今、ただの位相空間だけど本当にこの設定で \text{supp}[\mu] が存在するのか? \text{supp}[\mu] を構成してみましょう。

A \subset X\mu(A)=0 を満たす X の開部分集合とし、このような A 全体を \mathcal{A} とおく。そして X の部分集合 K
K= X \setminus \bigcup_{A \in \mathcal{A}}A
で定める。K は明らかに X の閉部分集合です。構成の仕方から K が測度の台の定義を満たしそうだが、果たして \mu(X \setminus K)=0 か・・・? 測度は可算加法性しか持たない、\mathcal{A} は可算集合かどうか分からないという点に問題がある。そこで X に次の条件 (\ast) を与えてみる:

(\ast): X の任意の開部分集合 O はリンデレフ空間。すなわち、O の任意の開被覆は可算部分被覆を持つ。

X の任意の開部分集合 O には X からの相対位相を入れ、O 自身を位相空間とみなしていることに注意。X(\ast) を満たすとき、\bigcup_{A \in \mathcal{A}}A は適当な \{A_{n}\}_{n=1}^{\infty} \subset \mathcal{A} を用いて \bigcup_{A \in \mathcal{A}}A=\bigcup_{n=1}^{\infty}A_{n} と書けて
\mu(X \setminus K) = \mu \left(\bigcup_{n=1}^{\infty}A_{n} \right) \le \sum_{n=1}^{\infty} \mu(A_n)=0
となることから、K が台の定義を満たすことが分かる。

以上より、位相空間が (\ast) を満たすときは常に測度の台が存在することが分かった。(\ast) は強リンデレフ性と呼ばれ、第2可算性を持つ位相空間(例えば、可分距離空間)は常にこの条件を満たします。

なんか疲れて来ましたね・・・。今日はこの辺で終わろうかと思います。そういえば、測度の台にはもっと一般的な定義があったと思います。今日は上記のような枠組みで測度の台を定義しましたが、気が向いたらこれについて記事を書くかも。次回は台が位相空間全体と一致している測度について記事を書くつもりです。

では。

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