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2017年2月22日水曜日

測度論、大阪大学大学院の入試問題

4sです。 今回は大学院の入試問題を解いてみようと思います。

問題: (X,\mathcal{A},\mu) を有限測度空間、f:X \to (0,\infty)\mathcal{A}-可測関数とする。 以下を示せ:

(L1) \lim_{y \to \infty} y \int_{\{f>y\}} \frac{1}{f} \,d\mu=0
(L2) \lim_{y \to 0} y \int_{\{f>y\}} \frac{1}{f} \,d\mu=0

平成29年度の大阪大学の院試の問題らしいです。 有限測度空間というのがポイントなんですかね・・・。

(L1) からやってみます。
\varlimsup_{y \to \infty} y \int_{\{f>y\}} \frac{1}{f} \,d\mu \le \varlimsup_{y \to \infty}\mu(\{f>y\}) \le  \mu \left(\varlimsup_{y \to \infty}\{f>y\} \right)
1つ目の不等式は積分範囲に注意すれば明らかですし、2つ目の不等式は有限測度空間上なら常に成り立つ測度の性質です。有限性を落とすと反例があるけど今回は大丈夫。
\varlimsup_{y \to \infty}\{f>y\}=\{f=\infty\}=\emptyset が成り立つから
\varlimsup_{y \to \infty} y \int_{\{f>y\}} \frac{1}{f} \,d\mu \le 0
であり、左辺の積分は非負なので主張が従う。

(L2) もやりましょう。
y \int_{\{f>y\}} \frac{1}{f} \,d\mu = \int_{X}y\mathbf{1}_{\{f>y\}} \frac{1}{f}\,d\mu
という風に捉える。右辺の被積分関数は y \to 0 のとき各点で 0 に収束し、
y\mathbf{1}_{\{f>y\}} \frac{1}{f} \le  y\mathbf{1}_{\{f>y\}} \frac{1}{y}  \le 1
と定数で上から評価することが出来る。定数関数は有限測度空間上で可積分であるからルベーグの収束定理が適用できて、
\lim_{y \to 0} y \int_{\{f>y\}} \frac{1}{f}\,d\mu =0
が従う。

まあこんな感じですかね。測度の有限性に注意すれば何とか解けます。では今回はこの辺で。


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